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シングルパパ雪次郎の部屋

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写真の腕はまだまだなので、デジカメで被写体を沢山撮りまくって奇跡の一枚を探す。その確率は50枚分の1枚くらいのような気がする。残りの49枚を気前よく削除できるかどうか。それをクリア出来た時、おいらみたいな人間でもいい写真は撮れるような気がする。

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2008.6.11 修学旅行

P1010018.JPG 本日有希が修学旅行に出発した。

「絶対見送りにきてね!」とのことだったのでがんばって時間を作った。
たまたま今朝は市場休だったので朝の配達だけ終わらせれば間にあうはずだったが、家について自転車に飛び乗り学校を目指した。
学校に近づいてくると遠くの方にバスが2台止まってるのが見えた。
大勢の父兄さんがとり囲んでいるのも見える。

「間に合ったー!」と思ったとたん。

先頭のバスがクラクションを鳴らした。出発の合図だ。
バスが動き出した。

「え?はやっ!」

お母さん達がいっせいに手を振り歓声が上がる。
時計を見る。7時26分。

「あれ7時30分発のはずだったのに、早まったかぁぁああ。」

あわてて立ちこぎし、ペダルを全速回転させる。
先頭のバスは交差点で左折してしまった。(自分から見ると右折)
有希は6年2組なので2台目に乗ってるかもしれない。
2台目も走り出したようだ。

「遅かったかぁああ!」

自分は交差点に到着する。信号の無い狭い交差点だ。ブレーキをかける。
目の前で右向こう角をコーナリングスペースをたっぷり取りながら2台目のバスはゆっくり左折し始める。
有希を探した。
運よくこっち側の窓側に座っててくれればまだ見送れる可能性があるので先頭の席から順に確認する。
バスの中は見えにくい。バスが速すぎる。目に力が入る。必死で確認した。
真中へんの席を見る。

「いた!」

遮光フィルムの貼られたこげ茶色の窓ガラスの向こうにこちらに気づきビックリした顔をしている有希が一瞬チラリと見えた。
F1レースのスポーツカーのように有希は左から右へ一瞬で消えていった。
そしてコーナーを回り終わる頃、遠心力が加わったバスは右側に傾いておしりだけになった。
手を振る暇などなかった。
同じく有希にしてもお父さんのビックリ顔が一瞬目に飛びこんできただけなのだろう。
加速するためアクセルを踏み込んだのだろう、大量に噴出した排気ガスは周りのと温度差を生じさせ空間を歪ませた。
まるでかげろうのようだった。
有希を乗せたバスはかげろうの中を出発していくようだった。
有希はなぜあんなに見送りに来てほしいと懇願したのか、なんとなく心当りはあった。

見送りの場面で、「いってらっしゃーい!」という母親達の黄色い歓声の中で,自分を襲ってくる寂しい気持ちと戦うのがいやでいやでしょうがなかったのかもしれない。
劇場的になりがちな今時のお母さん達の涙まじりで感傷的な気持ちの大安売りは彼女にとって決して快いものではない。
そんな状況下、何ものにも左右されないでいつも憮然として飄々としている自分の父親の姿を大勢の中で見出したかったのだろう。
明日なんて言い訳しようかな。お父さんはおそらくいつものように、

「仕事だったんだからしょうがねーべ バーカ」、そう言うだろう。

そういえば明日の約束を思い出した。

有希「絶対に迎えにきてね!到着の時、絶対にいてね!ね!」

父 「ま 気がむいたらな 行くからよ 約束はせんよ わかった? あん?」 

こんな父親に育てられて娘は吉なのだろうか凶なのだろうか?
幸いなのだろうかその反対なのだろうか?
いつも自問自答して悩むところなのだが、でもただひとつわかってることがある。

君は誰よりも早く強くなれるだろう。

こんな無神経な父親に育てられた君は人より強くなるだろう。
でもお父さんは君を強く育てているわけではないのだ。
実はそんな立派な教育方針を持った燐とした親では決してない。

タネをあかそう。
自分を強くして欲しいと思っている気持が君の心の根底には横たわっている。
お父さんには どう考えてもそう思えてならないのだ。
それが君の心奥で希求しているものの正体のような気がしてならない。

言い訳になるかもしれないが、実をいうとお父さんがそれに合わせているだけなのだ。 








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