2010年12月アーカイブ

最近の事と団体戦

ひさびさに、一日中仕事をした。

寝る寸前まで仕事をした。ゴボーの皮むきをしたり、青果物の細かい仕分け作業をしたり、伝票を切ったり、昔は当たり前だった。

夜は疲れをごまかすため、ワインをラッパ飲みしながら、、、なので懐かしかった。昔はこんなことが毎日だった。夜は酒で体をマヒさせて、仕事をするのが当たり前だった当時が懐かしく思える。あんな仕事を続けていたら、まぁ死んでいただろうなぁと思う。というか、自殺してるようなもんだったのかもしれないし。

今はある程度時間的に余裕のある生活(暇なだけだが)になり、人間らしい生活がどれだけありがたいか、そう思う毎日であります。



先日、有希が卓球の試合でがんばったので、約束してしまっていたのと、ま ご褒美に焼肉屋さんに連れていった。大食いの娘と一緒にいったので、おあいそは6100円だった。お父さんは10100円を用意した。

娘の前で、お父さんが1万円札を払う時、決まってやる儀式がある。その時もそれをやった。



一万円札に頬づりしたり、指でなでなでしながら、万札に向かい、



「お別れだね、また逢おうね!また帰ってくるんだよ!待ってるからね!いつでも帰ってきていいんだからね!じゃーね!またねー!

 

 さ 君からもお別れをいいなさい! ほら!」



と、有希を見ると、思春期の女の子特有の汚いものを見るような目で、こちらを見ていた。



以前なら、結構こういうネタに食いついてきたんだけれどなぁ、さすがに、あきれた表情でお父さんを見ていた。



昔ならこういうことを言うと、壷にはまって、きゃっきゃとウケてくれていたんだけどなぁ。通用しなくなってきたんだね。ま しょうがないわね。



で、先日、参観日だった。音楽の時間、琴とリコーダーで「さくら」



演奏する時、男の子がリコーダーを吹きながら目をギョロギョロさせたりして回りを笑かそうとするので、回りの生徒はおかしさをこらえ切れない感じでの演奏。見てることらもつられておかしい。中2になると、男子はやっぱりおもしろいなぁ。でも調子に乗って暴走する子もいるんだろなぁと思う。未熟だから傷つくし、でも暴走するから、失敗して反省せざるを得なくなるし。

自分も中学生や高校生のことを思い出すとおもしろくて楽しかったんだけれども、穴があったら入りたくなる思い出ばかりで、はずかしい思い出はなぜか鮮明に覚えてる。胸をかきむしられるし、千切りにしてもらいたい衝動は今もよくある。それほど恥というものは鮮明に覚えている。若いときの恥はあきらかにトラウマとなり、今もそれに突き動かされる。失敗は財産になっているように思うが、恥は障害にしかなっていないような、、、ま クソどうでもいい話題でした。



先日、2者面談があった。有希は高校でも卓球をやりたいみたいだ。お父さんは公式テニスをすすめているのだが、、。高校に入ったら公式テニスをやってくれとお願いしているのだが、有希の意思は固いみたいだ。強い卓球部でなくてもいいらしい。人数が少なくて、一年生から試合に出してもらえるような部がベストらしい。だとしたら、現在志望している高校は部員が4人くらいしかいない。なので条件が最適なため、ぜひがんばって入学して欲しい。先生に志望校を告げた。高校へ行って卓球をしたいという旨も伝えた。志望校には推薦もあるため、来年推薦を希望してみようかと思うのだが、お父さんの認識は違っていた。もし万が一推薦で受かるなら、残りの受験勉強の時間を他の時間に有効に使えるため、ダメもとでも推薦万歳だと思っていたのだが、今時の推薦の発表は2月中旬くらいらしい。ということは、やはり、結局直前までは受験勉強をせねばならないのだと、最近知った。甘かった。受験の年のその前年の年末までに結果が出るのではないかと思っていたら、全然違った。

そろそろ高校のことも考えなくてはならない時期になってきた。どこの高校に行ってもいいが、何か運動部に入って欲しい、それがお父さんの願いである。

でも、何度も親の期待を裏切るような行動をとるので、実は覚悟している。



 映画「靖国」を見た。

靖国参拝に反対する人間達の気持ちが初めて分かった。なんだか、非常によーく分かったような気がする。「参拝して何が悪いんだ、英霊に礼を尽くすのは当然だろ」くらいの認識しかなかったので、はずかしい気がした。



最近有希は政治的な質問もしてくるようになってきた。「尖閣諸島?中国が欲しかったらあげればいいじゃん!」といいう具合なのだが、どちらかというと旧社会党みたいなことを言ってくる。お父さんは政治や宗教の話は苦手なので、子供にどう話をしていいのか、さっぱりわからないのである。

「欲しかったらあげればいいじゃん」は売国奴よばわりされるから、そんなこと言わない方がいいと、「なんで?」と切り返されると、うまく説明できないのである。

最近の子は左よりの先生の影響を少なからず受けてしまうみたいで(右よりになるよりはましかなと思うが)、子供を真ん中に引き戻す作業はやっぱ親の重要な仕事の一つのような気がする。今の子供たちが大人になるころ、ベーシックインカムを掲げる政党に迷わず投票するようになるだろうという予感がするのは自分だけか?

それと、日本人は自分の国のことをあまり責める必要はないのだということを説明したいのだが、やはりペリーの黒船から説明しなければならないことを思うと、気が遠くなる。そんな教養があるわけじゃないし。帝国列強やロシアの南下政策の脅威と常に戦ってきたことをどうやって説明しらたいいのだろう。日本が核を持つ必要はなく、核の研究チームだけ立ち上げるだけで、メイドインジャパンという仮想風船を打ち上げるだけで核を持っている国と同じ抑止力が働くようになるということを、それぐらい日本の潜在力は世界中で評価され脅威に思われていることを、どやって説明したらいいのか。日本人に生まれてよかったなぁと思ってくれるためにはどうしたらいいのかなぁ。



 12月19日、団体戦があった。参加チームは結構多い。「冬季対抗戦」。去年は石狩管内から来た西●別中が優勝している。石狩の中学がほんらい上川くんだりまでくるのは何故だか分からないが、ま、腕だめしというか道場破りみたいな感覚なのだろうか?。がしかし強い。半端なく強い。北北海道内の中学チームでは、まず勝てる中学はないだろう。試合の前日、興味の的はこの西●別中が参加するのかどうかだった。娘の卓球部の監督の携帯電話に一報が入ったらしい。



「明日、西●別中の参加は無し!」。



まるで大本営の暗号めいた打電のような連絡が入ったらしい。



つーことは我が中学の優勝の目が少しだけ浮上した。



試合当日の話である。予選は4ブロックで、一ブロック5チームの総当り戦、2位までが決勝トーナメントに出場できる。娘のブロックは 娘が属するロクゴ●と、ホクモ●、ナガヤマミナ●、トウヨ●C、アサヒカ●。予選は全勝で1位通過。(強くなったなぁ)

トウヨ●Cは3軍チームだと思う。おそらく一年生チームの選抜だろう。でも、ボールの反応のいい子ばかりだった。来年がとても楽しみな感じがした。来年間違いなく優勝候補になるだろうと思った。



決勝トーナメント準々決勝はトウヨ●中Aと対戦。大所帯のトウヨ●中Aは今日は、なんと3軍(計3チーム)まで出場している。トウヨ●中Aは2年生の選抜で一軍である。

対戦結果は3?1で娘のロクゴ●中が勝った。



どこの中学のチームに言えることなのだろうが、大所帯の卓球チームというのは絶対数がいるため、選抜の一軍はそこそこ強い。強いのだが、多人数な卓球部ほど後輩が育たないのである。2年生の後半にならなければ選抜大会の試合経験をすることができない。なので修羅場の数が圧倒的に少なくなる。なので部活の人数が少なくて、中学入学時から一年生のホヤホヤから試合に出ているチームの方がメンタル面でも経験値的な面でも結果的には圧倒的に有利になる。それが大所帯卓球部と少人数卓球部の力の差になってしまう。

ちなみに、旭川の大所帯卓球部はトウヨ●中、ホクモ●中、シュンコウダ●中、ナガヤマミナ●中、ミドリガオ●中、ヒガシカグ●中、アサヒカ●中。この大所帯卓球部は強いのだが最近は決勝まで顔を出したことがない。大所帯卓球部の弱点なのである。部員が沢山いればよいということではないことがはっきり分かる。



普通は大所帯の部活はどんなに強い1年生がいても、一軍に参加させることをしないというのが常道みたいなのである。先輩と後輩の力関係が壊れてしまうし、監督も一番気を使う部分だと思う。因みに娘の卓球部は学年ごとにフロワーも別で練習する。つまり、別学年とはほとんど接触しないようなやり方になっている。来年になって新入生が入ってきてから、中連の大会が終わるまでは、1、2、3年生の3つの区分けになった時でさえ、学年別に練習する。おそらく今時の中学はどこもそうなっているのだろう。

が、しかし今回の、トウヨ●中のAは違った。一年生を混ぜてきた。先輩後輩の枠を超えて、タブーを破って、超えてしまった場合のリスクを承知で、卓球センス順の選抜の一軍で、そんななりふりかまわずの編成だった。



準決勝は常●中とだった。3?1で勝つ。

トキ●中は強い。お父さん評だが、北北海道内で実力ナンバー2の選手がいるチームなのだが、いかんせんトキ●中は街中にある中学で、いわゆるドーナツ化現象でもって、学校全体の3学年で60人くらいの人数しかいない。一学年は男女あわせて20人くらいだろうか。廃校や統合の噂がいつも浮上する中学校である。そんな中での卓球部編成なのである。団体戦に参加するための6人を工面して集めている様子がうかがえる。この日はなんと5人での参加だった。6人ではなく5人での参加の場合は白星を一つ相手チームにプレゼントした状態からスタートする。本来は3つの白星を取らなければならないのだが、2つだけ勝てばいいのである。実力ナンバー2の大物選手を抱えているチームなのだが、最近の成績は決勝の手前で敗退することが続いている。残念な気持ちなのだろうなぁと思う。





決勝はシベツミナ●中とだった。お父さん評だが、北北海道内ではチームとしては一番強いのではないかと思う。全員が強い。穴がない。そんな感じ。

試合が始まった。

先鋒のKちゃんは1?3で負け。

次鋒のAちゃんは大接戦だった。2?2でファイナルセットになりデュースの末、負けだった。



対戦ゲームカウントは0?2。後がなくなった。



でも、3組目のダブルスは3?1で快勝。

手前味噌な話だが、有希が属するロクゴ●中はとにかくダブルスが強い。ここらへん界隈では最強ではないだろうか。いつも安定的に勝利してくれるので、他のシングルスの子はんのびのびと試合ができる。「1つ2つ負けてもいいや」という精神的に優位な状態で試合に臨めるからである。

この日も多少手こずってはいたが終わってみると3?1の快勝だった。感謝の一言に尽きる。



対戦カウントは0?2 から 1?2 になった。反撃ののろしが上がった。





4番手の我がチームのSちゃんは相手のエースと対戦だった。

なので、「あ ちゃ もうダメか?」と正直思った。



1セット取られ、1セット取り返し、また1セット取られ、そんでもって1セットを取り返した。2?2でファイナルセットになった。

その後のファイナルセットはシーソーゲームになった。実力的には相手の方が上に見えた。ここまでよくまぁがんばったなぁという思いだった。まともに戦っては無理だと思ったのかもしれない。エースのプライドをくすぐるようにわざと相手にスマッシュを打たせて、ミスを誘い自滅を誘発させいるように見えた。Sちゃんの頭脳的な作戦である。だが、ポイントは 10?8のセットポイントになった。絶対絶命である。がしかし、なんとSちゃんはその時、タイムを取った。卓球の場合、点数を足した合計が6の倍数の場合、タオルタイムを取っていいルールになっている。10?8なので足して18、18は6の倍数なのでSちゃんはタオルタイムを取った。試合が再開した。なんと、その後流れが変わった。10?10と追いつきデュースをもぎ取った。ナイスタイムである。追いついた瞬間、お父さんは思わず「よっしゃぁー!」と、大声を出してしまった。普段、黙って試合を静観するタイプのクールな観客なのだが、このときはさすがに声がでてしまった。その後2回デュースを繰り返しSちゃんは勝利した。Sちゃんも1年生の時から試合に出場している口なので、さすが他のチームの選手とは場数が違う。接戦になった時のメンタル面が強い、追いつくとSちゃんのほうに分があるのである。ファイナルの接戦というのは相手が打ち気なら、こちら側の気持ちを一歩引いて冷静に丁寧に対応し相手のミスを待つ。そして相手がひとたび油断をしたらアドレナリンが分泌する蛇口を全開にして獣のような気持ちに入れ替え怒涛のような攻撃を仕掛ける。このスイッチの切り替えのうまさが勝敗を分ける。卓球とは心の中にそういうジギルとハイドのような相反する別個の人格を育成し、人格分裂症気味な自分を上手に引き出したり、コントロールしたりする心的な戦いなのである。

Sちゃんの成長が目立ったそんな試合だった。

卓球の腕前が上級者どうしになればなるほど、格闘技の試合を見ているようになる。Sちゃんも十分格闘家の仲間入りをしたように見えた。



いやーよかったよかったあぁ。



対戦カウントは 2?2 になる。



4番手のSちゃんの試合が行われている最中、試合の進行を早めるため最後の5番手の試合が空いている卓球台で平行して始まっていた。4番手よりも少し遅れた始まりである。5番手は有希だった。

4番手の白熱した試合を横目で見ながら、5番手どうしも接戦だった。隣でSちゃんが勝利した瞬間、有希の試合のセットカウントは2?2のイーブンになっていた。5番手同士のファイナルセットが始まる時、隣でSちゃんが勝利したのを有希は知る。勝敗の行方は5番手に回された。有希は床にうずくまった。プレッシャーが有希に覆いかぶさる。プレッシャーに押しつぶされるように床に這いつくばるようにうずくまった。有希はプレッシャーに弱い。お父さんならこんなプレッシャーの場合、腹痛、や胃痛や太ももの痙攣や不整脈や臓器不全みたいな苦痛という苦痛が一度に襲ってきて試合どころではなくなるだろう。しかし相手も同じ条件なのである。



この日の有希の調子は最悪だった。ドライブが相手コートに入らない。ここぞという時のドライブの切れがなく、ふかしてしまう。



さて、そんなプレッシャーの中、生気を失った青白い顔をした2人の娘っこ達の試合が、泣いても笑ったもこれで終わりの戦いが始まったのである。



でも最後のセットはワンサイドゲームになった。片方の選手が異常な集中力を見せたのか、片方の選手の集中力が途切れてしまったのか。プレッシャーに極端に弱かったのかそうでなかったのか、分からない。原因は分からないのだが、終わった時のカウントは 11?6 だった。ワンサイドゲームで終わった。



お父さんは今も信じられない、勝ったのは有希の方だった。



試合が終わったあと、いつもは無表情の有希だが、満面にニヤニヤを隠し切れない様子でベンチにヨタヨタ戻る。3番手で反撃ののろしを上げてくれたダブルスのRちゃんとYちゃんががニコニコ迎えてくれ、4番手で試合を引っくり返し勝敗の鍵をバトンタッチしてくれたSちゃんが介護士のように有希を支えてくれた。



 前回の優勝は楯だったが今回は優勝カップだった。

一年間学校で保管して来年またこの大会に返還しなければならない。子供達は初めて手にする優勝カップがめずらしそうだった。お金では買えないひかりものが目の前にある。そんな現実が不思議そうだった。人に与えられたものではなく、自分達で取りに行って獲得した、そんな戦利品の重さを確かめるように交代で持ち合おうとした。



そんな様子に思わずシャッターを押してみた。安物のデジカメのだったが彼女達の思い出の一コマを捕らえることが出来たかもしれない、そんなシャッターチャンスを見逃さなかったことにお父さんとしては父兄のおじさんとしては、正直言ってホッとしたし少しだけ嬉しかった。



んで、いやー なんだか、いい試合を見せてもっらった。どうもでした。



さて、娘が属するロクゴ●中の連続優勝はまぐれなのか実力なのか。

自分としてはそんなことはどうでもいい。



これから先、多少、むちゃくちゃなことに出会っても、理不尽なことに出会っても、彼女達がへっちゃらな気持ちで対応してゆける自信を一つ持てるようになったのなら、大人としてはこんなにうれしいことはない。



というか、こういう臭いことを言うと今時の中2にはバカにされるのがオチなので、思いだけにとどめておきたい。そんな残念なお父さんの最近の出来事でありました。

団体戦と記念写真とお酒

またまた親バカです。



だんだん自分でも鼻につくくらいになってきましたが、娘の卓球のことは記録として残しておこうと思っておりますので恐縮です。寛大な心の方のみ閲覧をおすすめします。相すみません。



先日、団体戦がありました。上川中部の範囲で、選抜卓球集選手権大会というのがありまして、全道大会まであります。

2位までが全道にいけます。

受験勉強のため3年生がどのチームにもいなくなり、ハードルが低くなったので、へたすると優勝するかなぁと思っていたら、本当に優勝しました。

最初の予選は3試合で、3?0、3?1.3?0 で、予選は1位通過、決勝トーナメントでは、勝てないだろうと思われていた常○中に準決勝で3?1、そして絶対に勝てないだろうと思われていた比○中に決勝3?1で快勝した。



勝因は何かを考えてみた。最大の要因はやはり、娘の六○中は娘達が入学した時、先輩がほとんどいなかったので、いきなり試合に出してもらえたことだろう。コテンパンにやられたりとかの試合の場数は圧倒的に多いため、接戦になればななる程、強さを見せる特徴がある。



また中学生の団体戦は、定員6人で戦わなければならないという規定があり、それに対して六○中は部員が少ないので、オーダー表の出し方も工夫を凝らさなければならない。誰を先鋒にするか、誰を次鋒にするかなど、相手によって毎回順番を変えたりするのだが、6人制卓球の場合、このオーダー表の出し方で明暗が分かれることが多く、いわば丁半博打の要素がかなりあって、実力以外の要素によって勝ち負けが逆転するケースはめずらしくない。特に実力が拮抗しているようなチーム同士では、ほとんどこのオーダー表の出し方で全てが決まってしまうといっても過言でない。今年の中連の大会の際も、相手チームを甘く見て、オーダー表をあまりよく考えず無造作に提出してしまったため、結果、上代出場を逃してしまうという手痛い失敗を経験している。

どのチームも全員が強い選手であるとは限らないためもあって、こちらが大砲の駒を出したつもりが、地雷の駒を踏んじゃったぁ などという感じそのもので、戦う前に提出するオーダー表というのは、昔の軍人将棋の駒置きに非常によく似ているのである。この駒置きは普通は大人の監督がやるのだが、娘の六○中は1試合1試合子供たちがやる。運動場の片隅で、1枚の「オーダー表」とタイトルされたB5番のホワイトペーパーを中心にして、うつぶせ状態の子もいれば(さすがに仰向けはいないが)、あぐらをかく子、とにかく皆で白い紙切れを真ん中に置き、喧々諤々と、口角泡を飛ばしあい、相手がどういう布陣でくるかを予想しながら、こちらは誰を出すとか、あるときは真剣に、あるときは、箸が転げてもおかしい年頃の女の子らしくのけぞって大笑いをしながら駒置き作業をする。このオーダー表に工夫をこらせるようになったこと、これも大きな要因の一つなのだろうと思う。



因みに高校生や大人の団体戦は4人集まれば出場できる、シングルスが4ゲーム、ダブルスは1ゲームの5セットマッチをやる。(最大5ゲームの3ゲーム先取、それは中学と同じ)。中学の場合は全員が違う人間が出なければならない。そのため定員が6人であるのに対し高校以上になると、シングルスが4人でダブルスはシングルスで出た選手がダブって出てもいい(むろん6人で出てもかまわないのだが)、そのため4人で出場するケースが多い。1.シングルス、2.シングルス、3.ダブルス、4.シングルス、5.シングルスの順番で試合が行われるのだが、都道府県によっては、1番目と2番目にシングルスに出た選手はダブルスに出られないというルールのところもある。でもこのルールは非常にいい。1番目と2番目にシングルスに出た選手はダブルスに出られないということは、上手な子は4番、5番目に出ることになる。(一般的な話だがシングルスがうまい子はダブルスもうまいことが多い)。なので、各チームはエース級の選手は必然的に後半に出ることになり、実質的に実力勝負の様相を呈するようになり、オーダー表のある意味姑息な駒置き作業は必要がなくなるし、博打的な要素もなくなるのである。また後半に向かって試合は当然だが盛り上がっていくわけなのである。



しかし中学校は6人定員なのである。なぜ4人ではなく6人なのかについては、話が長くなるので、すんません省略します。



つまり、六○中はこの駒置きが上手になったのである。しかし決勝だけは、駒置きの考えすぎが裏目にでた。相手チームの老練な老監督の駒置き作業は娘っこ達が考えた浅知恵をいとも簡単に見抜いていたようだ。裏をかかれたのである。あきらかに向こう側の戦略勝ちである。対戦の組み合わせが分かった時、「あ やられたかな?」とも思ったのだが、対戦が始まり、ふたを開けてみると違った。組み合わせのハンディキャップをもろともせず比○中に勝利した。対局の不利を上回る程の実力の差を見せつけたのである。博打的な勝利でもなく、漁夫の利的な勝利でもない。実力で勝ち取った優勝ということになる思う。なので、心底、がんばった皆におめでとうを言いたい気持ちだった。



六○中が準決勝で勝ち、全道のチケットをゲットした頃から、体育館の外は雪が降りはじめた。その後、決勝で勝った時分から大雪になった。自分は表彰式が終わった後、すぐ家に帰った。「自転車で来た娘は帰りどうするのだろう、この雪の中で帰れるのだろうか」と思いがよぎったが、子供たちで、ほっといても解決するだろう。オーダー表の提出と同じように、、、。そう思い、1人家路へ、、



しばらくして、友達の携帯電話を借りて電話を有希がかけてきた」



「おと?」



「なした?」



「雪で帰れん!車で迎えにきてくれ!自転車も積んでってくれ!」



「OK,分かったぁぁああ!」





体育館まで、再度行く。玄関付近で、娘達が雪の中、寒そうに待っていた。車から降りて、娘達に近づいて行く。





お父さんの性質からして子供達に、こう言いたくなった。





「お前ら、優勝したから、雪降ったし、って、笑うわ まじで、



 決勝で勝った時なんかさ、大雪に変わったし、究極のオチだし。アハ」



というフレーズがのどまで出かかったのだが、今日くらいは下品なお父さんの性質は封印しようとブレーキをかけた。





「みんな がんばったね、よかったね。」という、「偽善者」の名札をぶらさげたようなセリフを吐いてしまった。その直後、雪はさらに強くなった。





後日、写真入りで、新聞のローカル版に掲載された。いつもは虫眼鏡で見なければならないほど小さな大会結果の文字に一喜一憂していたものだが、今回はたまたま、六○中卓球部の優勝記念写真を掲載してくれたようだ。新聞社さん、ありがとうございました。





写真は皆一様にピースサインをしている。



以前この中で1人、卓球部をやめると言い出した子がいた。皆困るので、大勢で説得してやめるのを思いとどまってもらったらしい(笑)。苦やくてしょうがない涙を何度もボタボタ流した子もいるし、ゲーム数が2?2になり最後の試合で絶対に負けられない場面で、セット数が2?2、ファイナルセットになり何度もディースを繰り返し、やっとこ勝利し、皆にもみくちゃにされたSちゃん。Sちゃんは絶対に泣かない子だと思っていたが、さすがにこの時は、万感余り、こみ上げてくる感情に勝てず、歩行が困難になるほどの嗚咽を見せてくれた。みんな、もし卓球部に入っていなかったら、こんなに泣いたり笑ったり怒ったりふてくされたりよろこんだり照れたりガッカリしたり悲しんだりを経験しなかったのではないだろうか、写真を見ていてそんな風に思ってしまうのであります。



こう思います



卓球とはメンタルな面が非常に強くそれと連動してる競技であること間違いなく、他のスポーツには無いそんな特長がそこにはあるのだと思うのであります。

試合が終わって対戦相手と握手する時、相手が手を出してきた瞬間こちらの手をすぐ引っ込めるような、そういう誠実でない選手が上まで勝ち進んでいく例をみたことがないし、負けたからといってラケットをぶんなげるようなことをする選手が上まで勝ち進んでいく例をみたことがないし、こちら側に間違って点数が入り、正直に申告しないでそのままとぼけて試合を続行するタイプの選手が上まで勝ち進んでいく例をみたことがないし、こちらの点数が有利になった瞬間に相手に対して横柄な態度になるタイプの選手が上まで勝ち進んでいく例をみたことがないし、言い訳するタイプの選手が上まで勝ち進んでいく例をみたことがないし、見栄っ張りなそんなタイプ、空気を読めないタイプ、人と仲良くできないタイプ、練習に遅刻しくるタイプ、ウソをついて練習をサボるタイプ、観覧席の友達に手を振って白い歯をみせる選手、相手が格下だと思うとバカにした態度で試合をするタイプ、わがままな子、友達を大事にできない子、イジメを看過する子、弱いものいじめをする子、人を仲間はずれにする子、人の悪口をいう子、人に心配させるタイプ、文句ばっかり言っているタイプ、思うようにいかなくて試合中イライラするタイプの選手。そんなこんなの選手が上まで勝ち進んでいく例を自分はみたことがない。要するに君たちは自分の中にあるそんな未熟さをうまいこと克服するためにはどうしたらいいかを模索してきたから、だからここまでなんとかたどりつけたのであり、そんなステージまでなんとか来れたのではないかと、そう思うのであります。



だから賞状というのは未熟克服証明書みたいな意味合いがあるわけで、大人になっても未熟な人間が実はたくさんウヨウヨしていて、お父さんも実は偉そうなことが言えないのが残念なんだけれども、「結果が全てではない!」とか言うけれども、もちろん、結果は全てであるわけがないのだけれど、でも結果で全てを物語れるというそんな側面を持っていることも確かであって、どうかそんなことを分かって欲しいなぁと思うのですが、でも中学生にこんな話をしてもバカにされるだけなので、そんな思いもここで封印してみたいと思うのであります。





でもって、自分が知る限り、この写真に写っている選手の親はみな必死で生きているのを自分は知っています。必死で生きている親の子供さんたちがピースサインを放っているように見えるのであります。うちの子もそうだが、みんな小学校の時、運動というカテゴリーで人に褒められることはなかったのではないかと思う。失礼だがそんな子達ばかりのような気がする。でも今、回りの人は皆君たちを褒めたくてしょうがない衝動にかられているのだと思う。うちの子もそうだが、中学に入った時、何か部活に入りたい。部活に入らなかったら友達が出来ないかもしれない、部活に入らなかったら殺伐とした不毛な学校生活になってしまうかもしれない、だから,だから、なにかの部活に入りたい、自分にも出来ることはなんだろう、自分でも出来ることはなんだろうという思いで胸を一杯にして、そんでもって、そんでもって卓球という地味な種目を選んだに違いないのである。それがどうだろう、下回転をかけてサーブを相手のショートフォに入れ、突っつきで浮いて帰ってくるレシーブボールを今度はこちらがフォアに回り込んでクロスに7割方の力のスマッシュを打ちこんでいくシステムプレー。わざと下回転をかけて少し浮かせて相手コートに返し、相手にスマッシュを意図的に打たせ、下回転がかかっているため、おそらくネットして墓穴を掘るだろうと見越し、でも間違ってこちらのコートに入ってきたら、一応レシーブだけできるようにしておく体制だけは整えておく詰め将棋のような誘いプレー。守備範囲の狭い選手に対してはオープンスペース、オープンスペースに対してボールを放ち、スペースがガラ空きになったら、そこではじめてスマッシュでポイントゲットに転じる忍耐的なボールコントロール。どの技も、気の遠くなるような回数の練習に裏打ちされていることを物語っている訳で、その昔、自分にも出来ることはなんだろうという思いで胸を一杯にして卓球部の門をたたいたあの当時の子供達とは思えない程のそんな君たちの成長ぶりに、心身ともに成長した成長ぶり加減に対して舌を巻いておりますです ハイ。脱帽であります。ほんと脱帽なのであります。



褒められ慣れていない子供達のピースサインはいかにも自信なげで、弱々しさに満ちているようにも見える。見えるのだが、しかし、こうも見える。大げさかもしれないが、生きる力をやっとこ手にした人間達の記念写真に見えてしょうがないのである。お父さんがそんな記念写真に見えてしまうのはやっぱ年をとったせいなのか。焼きがまわってきたのか。



この写真を見ながら、お父さんはいつまでもお酒を飲んでいられた。いやー なんだか涙も出てくるし、ほとんどの子が小学生の頃から知っている子達だし、いろんなことを思い出してしまったりして、お酒がおいしくていおいしくてしょうがなかった。他の親御さんもきっと同じ思いなんだろうなぁと思うと余計お酒のピッチはすすんだ。



最後に先生にお礼を言いたいです。部活の先生は大変です。いつも、この日も朝早くから夜まで、休日を返上して引率、指導していただき本当にありがとうございます。家庭を持っておられる先生にいたっては、かなり家庭を犠牲にしておられるのではないかと、足を向けて寝れない気持ちでおります。先生方の愛情が子供を媒体にして伝わってきます。親にできることは、その愛情に対して、信頼でお返しすることだと思います。先生方の指導のおかげです。繰り返します。先生方の指導のおかげのそのたまものであります。今の時代、表立ってお礼することは、問題になりますし、わざとらしいですし、なので心の中でただひたすら感謝の言葉をぶつぶつ念じております。皆さんご健康でありますように。ご家族が幸せでありますように。ご多幸に恵まれますように。いいことが沢山ありますように。


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