2011年8月アーカイブ

全道大会と生姜焼き定食

全道大会だった。

浦河町で開催された。有希にはデジカメを渡した。ほとんどが上記のような写真ばかりだった。(笑)



大会一日目、団体戦の一発目、

大会へ行く有希には、携帯電話を渡してあった。



「ちゃんと試合結果を毎日報告しろよ!」



というお父さんの命令口調の言葉を消灯時間が過ぎてから思い出したのだろう。

夜10時頃、小声で有希から電話が鳴った。



「おと?」



「どした?」



「負けた!」



「そっかぁ どこに?」



「前田中学」



「そっかぁ 前田はしゃーないよな負けても」



「うん」



「晩飯おいしかったか?」



「、、、、」



「まぁまぁだった?」



「,、、、 やべ 、もう切るわ!」



電話を切ろうとする有希にくらいつくように、



「明日は共和中学とか?個人戦も 明日?」



「うん!」



「じゃーな」



「うん!」





二日目、



二日目も消灯時間を過ぎてから電話がきた。小声だった。



「おと?」



「なした?」



「負けた!」



「そっかぁ 個人線は?」



「2回戦で負けた!」



「そっかぁ、わっかった。」



「やば! 誰か来る! 切るわ!」



サスペンスドラマみたいに、切羽つまったあわただしい報告だった.。でもまぁ、必要な情報だけは分かった。



要するに団体戦は予選落ちだった。後で聞いてみると、前田中とは2ー3で惜敗(因みに前田中はこの後3位となり全国行きを決めた)。共和中学とも2ー3の惜敗だったらしい。2敗してしまったので、予選を突破できなかった。

調子の悪かった選手は、実力を出せなかったと、みんなに迷惑をかけてしまってと、のちの反省会で泣き出したらしい。

有希の個人戦は1回戦は3ー0で突破、2回戦は1ー3で惨敗。

全道に向けてかなりの練習を積んだが、だめだった。残念、惨敗の結果に終わる。



 明るい報告としては、今回上川勢は男子がすごかった。

神居東中が団体戦3位、全国に行きを決める。(大変な快挙であります)

個人戦では、東光中3年生の吉野君、ベスト4、全国を決める。

東光中には卓球部がない。なので、いつも個人戦でしか出場していない。ピンポンパン旭川という卓球道場で練習しているため、その卓球道場の名前で参加することが多い。普通、中学生というのは、その学校の監督かコーチか同僚の選手などか、ベンチコーチ(ボクシングで言えばセコンド)に入りゲーム中の休憩タイムは誰かかれかのアドバイスを受けたりするのが通例なのだが、吉野君は孤立無援、1人参加なため、ゲーム中の休憩はたった1人だけでスポーツドリンクを傾け、そして決勝まで勝ち進んでいく様子がなんともカッコいい、そんな選手なのである。



もう1人は、東鷹栖中学1年生の横山君(ピンポンパン旭川の門下生)。この選手は一年生なのだが今回、、敗者復活戦で勝ちあがり、(厳密には一般に言う、敗者復活戦というルールとは違うのだが)、全国行きを決めた。この選手は小学生の頃、卓球と野球を平行してやっていたらしい。東鷹栖中学には卓球部も野球部もない。んで、中学に入って、考え方を卓球個人戦の道に特化したのだろうか、小学生の時も優勝を独占するくらい上手な選手だったが、中学に入ってさらにまた劇的にうまくなった。八百屋風情の感想なのでまゆつばかもしれないが、東光中3年生の吉野君が中連以降、試合に参加しなくなる今後、この横山君が他の追随を許さない程、個人戦の優勝を全てかっさらってしまい、そんな金字塔を打ち立てるのではないかと感じているのは自分だけではないような気がするのであります。

なにはともあれ、低迷気味だった上川勢の明るい材料が生まれ、他人事とはいえ、ありがたい情報であった。



女子の個人にも朗報があった。広陵中学の赤塚さんという女子の選手なのだが、な な なんと1年生でありながら、中連地区予選個人優勝、カミダイ個人優勝、なので、全道でどこまでいけるのかが、大勢の人間が見守っていたと思う。が、しかし、あと一歩のところで、全国行きを逃してしまった。善戦だった。残念無念という感じだったのだが、来年、さ来年、むちゃくちゃ見逃せない、上川の宝物のような選手が出現してくれたことに、卓球関係者達もさることながら、我々父兄である、おじさんおばさん達の大きな楽しみになること間違いなさそうなのである。



有希は第2の修学旅行のつもりだったらしいのだが、全国とまではいかないまでも、ひと暴れして帰ってきたかったのだろう、思った程活躍できなかったことが悔しくて悔しくてしょうがないようだった。他のチームメートも同じようだったらしい。

 

有希のいない3日間、一晩だけ、1人で飲みに出かけようかなと思い、家を出た。

行きつけのお店があるわけではなし、かといって、知らない居酒屋に1人で入る勇気というか、度胸もない小心者の自分が行った先は、近所のそれも昼間たまに行く「鈴の屋」というラーメン屋さんだった。

あまりにも見慣れすぎている、それもいつもの席、4人掛けのテーブルに座ればいいのだが、テーブルに座ってしまうと、後で入ってくるお客さんが座れないと困ることになるのではないか?お店に迷惑をかけるかもしれないとの小心者特有の気遣いから、テーブルを避けカウンターに座る。本当は空いている時間帯なため、どの席に座っても構わないのだろし、お店の人も同じくそう思っているのだと思うのだが、カウンターに迷わず座ってしまう。小心というより貧乏症の癖かもしれない。



「ビールください!」



「ハイ!」



「あ あの 瓶ビールありますか?」



「はい、うちは瓶しかありません。」



「あ んじゃ 瓶でお願いします。」



厨房の中、コンロの上、フライパンでもやしを引っくり返しながら、マスターがこっちの方を見て、ニコリ笑う。

最近自分は年をとったせいか生ビールをおいしいと感じなくなった。



そして生姜焼き定食を頼んだ。750円。

ここは何を食べてもおいしい所なので、案の定「豚の生姜焼き」もおいしかった。



瓶ビールと合わせて、1170円になる。



本日は娘もいないし、鬼のいぬ間に洗濯のつもりで、自分にご褒美を与えるつもりだったが、行った先はいつものラーメン屋さん。贅沢のつもりはビール1本とラーメンが生姜焼きにランクアップしただけだった。

こんなせこい贅沢しかできない自分が笑えるのだが、ビールを飲みながら1人で外食をしている自分に、なんだか訳の分からない罪悪感が襲ってきた。

こんな罪悪感と戦いながら、する程の贅沢ではないことを思い直し、早々にラーメン屋さんを出た。



なんだかすごい惨めな気持ちになりましたです、ハイ。



生姜焼きはとてもおいしかったのですが、ささやかな贅沢も楽しめない体質に変わってしまって、貧乏性が身体に染み付いてしまった感じがして、なんだか惨めな気がしました。



しかし、あの罪悪感はなんなんだろう。昼間は昼間で、お腹が減ると、ケチッてどっかのスーパーの298円ハンバーグ弁当。安い肉の臭みをごまかすためこれまた安っぽいナツメグを必要以上に効かせたハンバーグを口の中に放り込んだ時の、あのなんとも気色の悪い舌の感触。自分で「何やってるんだろうなぁ」と思いながら、でもそんなことしてる自分が、とっても幸せだったりして、そんなくだらないことに幸福を覚える習慣が出来上がってしまったのかなぁと。世の親って、家庭を持っている親って、こんな感覚の人がきっと多いんだろうなぁ、そう思うと、やっぱり惨めな気持ちになってしまった訳であります。(笑)



有希の中学校生活での部活はこれで全て終了した。

学校も部活も無遅刻、無早退、無欠席だった。どんだけ丈夫になったんだろう。



浦河から帰ってきたら、受験モードに切り替えられるのだろうか。



卓球熱は心のポッカリに入れ替わるのだろうか。

卓球エネルギーがが受験のエネルギーに変わってくれたらと思うのは、親の救いがたい希望なのである。





浦河から帰ってきたら、とりあえず、ご苦労さんでしたと、俗っぽい言葉でもかけようかなと、そんなことを思う。


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