コクル

全国的なのかもしれないが、好きな異性に告白することをコクルと表現しているらしい。

娘の学校(中学)でも、コクルが流行っている。

娘が学校から帰ってきたとき、お父さんに報告するビックニュースはこのコクリが多くなってきた。



娘 「おと ! ビ ビ ビックニュース! 今日! けいこ(仮名)がゲンタ(仮名)にコクったぁあああ!」



父 「えーーーー! まじ ん で んで ゲンタはなんて言ったの?」



娘 「OKだってさあぁあああ!」



父 「ひ ひ ひえぇええー!」



こんなやりとりが多くなってきた。



話しを聞くとおもしろい。



けいこは最初、コクる前に、自分の周りの友達に「ゲンタにコクろうかなぁ」などと、宣言する。

友達はおもしろがって、ゲンタの友達に「けいこがコクるかもしれない、その際、ゲンタはどんなリアクションをするのか」を友達を通して確認する。



もしゲンタが 「俺 むりー!」とか言えば、その話しは、けいこまで風のたよりに届いて、なにごとも無かったように終りとなる。



もしゲンタがOKそうだったら、その情報はけいこまで届き、再度、コクリをがんばる宣言を周囲の人間に漏らす。

そしてけいこはゲンタに「あのーもしよかったら、付き合ってもらえませんか?」と、ゲンタにコクるのである、結果がだいたい分かっている状態で、、、



今時の子は自分が傷つかない予防線をはるのがうまいのである。

最初に友達に宣言した時点で、友達がおもしろがって、相手の耳にその情報が届き、ある程度レスポンスが返ってくるのが分かっていて、そんな情報収集を経た時点で、ドラマの主人公よろしく、告白劇に王手をかけるのでる。



まるでビジネスではないか。



自分の時代は違った。好きな人ができたら、思い悩み、あと先考えず、特攻隊のように突進告白し、そして撃沈し、立ち直れなくなるほどの自己嫌悪に陥り、人生観をいやでも軌道修正せざるを得なくなるという、ドンキホーテのようなタイプの人間が多かった。いわゆる不器用な人が多かった。自分もその一人だった。やはり時代は変わったのだろう。



あと、こんなのがあった。娘が小6の時、ある女の子が男の子に、ノートに 「私のこと、好き? 嫌い?」と書いて渡した。

男の子は好きと嫌いの間の空白に 普通 と書き足してそれにまるをつけて渡した。 アハ



同じく、娘が小6の時、いままではとても仲のよかった男の子2人が、放課後、校庭の裏山で決闘宣言をした。2人は血だらけになって、ややしばらく殴りあい、取っ組み合いの喧嘩になった。



真昼の決闘である。



決闘宣言をしてから殴り合いを始めたので、全校生徒が廊下の窓から身を乗り出して、その決闘を観覧した。そして誰かが先生に報告したのだろう。先生が止めに走った。

2人は殴り合ってすっきりしたのかもしれない。先生が来ると、仲直りのハイタッチをしたらしい。

娘に理由を聞いてみた。



「なんで喧嘩したの?」



「なんかぁ、好きな子の名前をばらされたからだって!」



お父さんは、ややしばらく笑った。





うちの娘もしたたかである。

土日などは午前中は部活なのだが、練習が足りないらしく、午後も近くの体育館で練習がしたいらしい。腕が上がってきたので、お父さんはもう練習台にならなくなってきた。

先月も個人戦で娘は4回戦までいった。上川管内で1年生は2人(2年生は14人)の強化選手が選ばれた。その内の1人に入ることができた。

なので練習は男子としたいらしい。

ストレートに男子を誘っても男子は来てくれない。なので、卓球部にはSちゃんという、男子にモテモテのかわいい女の子がいる。この子を説得して練習に誘う。この子が来るときまったら、男子に話しを持っていく。「Sちゃんもくるよ!」。そう言うと卓球部一年生男子のトップスリーがいとも簡単に集まるらしい。(笑)

しばらくは、その手を使っていたのだが、段段あまりにも露骨な作戦に男子は引っかからなくなってきた。

最近の娘の手口はこうだ。

Sちゃんは実力NO3のA君が気になっているらしく、A君もSちゃんを気に入っている。なので、まずSちゃんに、「A君も誘う」と言って、Sちゃんをキープする。

実力NO2のR君は、どちらかと言うと硬派で、ちゃらちゃらした人間が嫌いなタイプである。有希はまずこのR君に話しをぶつける。



娘 「ねぇ練習に行こう!」



R君 「、、、、、、、」



娘 「Sちゃんもくるよ」



硬派のR君 「それはどうでもいい!」



娘 「お前 エースだろ!」



R君 「俺 エースじゃないし、エースはTだし」



娘 「何言ってんだよ! もうすぐ、お前がエースだろ、だろ!な な 」



R君 「、、、、、、、」



娘 「どうすんだよ、いかねーのかよ」



R君 「、、、 ん じゃ 行くわ!」



と、こんな感じで、色仕掛けが通用しないR君を落とす。そしてR君から男子のNO1とNO3に連絡してもらう。

実力NO1のT君はSちゃんが来るからというちゃらちゃらした理由から逃れることができるため(本当はSちゃんが来るからなのだが)、硬派のR君に誘われたという免罪符を与えられたためというか、R君が来るからという錦の御旗を手に入れることができるため、練習にくることになり、実力NO3のA君もR君が来るからという錦の御旗をがあるので、精神的にとても気軽になった状態になるので(本当はSちゃんが来るからなのだが)、練習にくることになる。

NO1のT君もNO3のA君も、言い出しっぺがうちの娘だと知れば、バーターでSちゃんが必ず来ることを暗黙のうちに言わなくても伝わるらしい。これがほんとの以心伝心である。



つまり娘は自分の願望を達成するために、水面下でSちゃんのカリスマ性を自在に利用し、そしてR君をおだてて、彼に建前としての免罪符を配らせる、Sちゃんは十字架でありR君は免罪符なのである。娘はそんな悪徳司祭のようなことをやっているのでる。

人の気持ちを見事に操っていると言える。

人の気持ちの一番弱い部分を責めて行く。これが娘のやり方である。いつかバチが当たるだろう。(笑)



練習に皆が来ることになった瞬間、いつも娘はこう言う、



「あー めんどくせー!」 



(確かにそうだと思う)


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このページは、yukijirouが2010年1月19日 14:01に書いたブログ記事です。

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